相手を幸せにする幸せ
●相手を幸せにする幸せ
(前略)
他人を押し退け、他人を打ち負かし、他人を圧倒しなければ、競争社会は生き残れないと誤解している人が多い。
競争社会では、「自分の幸せ」をとことん追求するほうが、正直で潔いと思えてしまう。
「自分以外を喜ばせる幸せ」などという目的は、どこかにウソがあるような氣がするし、何だかしらじらしく思える。
それで花を買って帰り、妻を喜ばせるということさえ、気恥ずかしくてできない。
しかし、ビジネスの本質はどんな商売でも、「自分以外を喜ばせる幸せ」にある。
少なくとも、世の中で成功者と呼ばれる人たちは、必ずそういう目的を持っていた。ソニー創業者たちのような、「日本再建、文化向上」であるかも知れないし、本田宗一郎がいうような「人間の幸福を技術によって具現化する使命」かもしれない。
今日でも、まだそうした理念をタテマエと受け取る人が多いけれど、決してそうではない。
彼らはそんな恥ずかしいことを自分の心で感じ、本気で人生の目的としていた。
あとでお話するように、そのようなIRA由来の目的に支えられなければ、厳しい競争社会を生き抜けないことをよく知っていたからだ。
だから私は自分の息子に、「勉強するのは自分のためだ」などとは一度もいったことがない。
「勉強は自分のためにするんじゃないぞ。お母さんのためにするんだ」といい続けてきた。というのも、こんな人生の法則があるからだ。
努力が辛いと思う人間は、
間違いなく自分のためだけに努力している。
したがって、娘にも「自分が幸せになろうとして結婚するな。結婚するのは自分のためじゃないぞ」といっている。
「相手を幸せにする幸せのために結婚しろよ」と。
(後略)
西田文朗 『人生の目的が見つかる魔法の杖』 (現代書林) より
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